グサッとくる言葉。
言葉の節々にまるで見えない針が仕込まれているようにあたしの胸にチクチクと刺さってくる。
我慢我慢。
こんなの予想通りじゃない。
予想通り………。
我慢して聞こえないフリをして通り過ぎようとしたあたしだけど、急にあたしは手をグイッと引っ張られる。
引っ張られたかと思うと、あたしは後ろから手を回され、軽い重みを背中に感じた。
「誰? 今、言ったの」
ピタリと体がくっついているために背中越しにじかに響いてくる隼人の低い声。
こんな声、あたしはいつも聞いているから、今さら驚いたりしないけど、学校ではみんなの前で猫を被っている隼人が今ここでこんな風に凄んで言うことが、あたしには驚きだった。
だ、大丈夫なの?
目だけで窺うように隼人を見るけど、隼人はあたしにニコリと笑うだけ。
でも、周りのみんなはさすがにいつもとは全く違う隼人の雰囲気に、息を呑んでいる状態だった。
そういえば、今朝はネクタイも緩めているままだし………。
もしかして、初めからこんな風に地を出す気でいたのかもしれない。
隼人の冷たい刺すような声に、こそこそと話していた女子たちは一同に、バツの悪そうに視線をそらせたり、顔を背けたりしていた。
だけど、そんな態度だとまるで「自分が言いました」と言っているようなもの。
隼人は一斉に黙り込む不自然な集団へと目を向ける。
きっと、隼人のことだから知ってやっている。