隼人がどれだけ真剣に考えてくれたのかよくわかった。


その中で出した隼人の結論。


ただ、自分の考えを言っているだけじゃなく、隼人はきちんと考えてその中で導き出した答え。


そんなことも聞かないで、知ろうとしないでただ隼人だけを責めて。


ダメだな………、あたしって。


「ねぇ、隼人。2人で考えよう。香取さんのこと。隼人がふったから隼人が解決するんじゃなくて、あたしたち2人で解決しよう。本当は、初めからそうするべきだったんだよ」


「美優………」


「あたしたちは、幼なじみの関係が長すぎたから、急には恋人同士のようにはなれないかもしれない。でもね、こんなことからでも一歩ずつはじめよう。2人で考えよう………って、隼人!?」


グイッと隼人に腕を引かれ、あたしは隼人の腕の中にいた。


隼人の胸に顔をつける形になるあたしは隼人の胸の鼓動がとてもよく聞こえた。


そして、微かに震える隼人の腕。


「……よかった………。もう、美優には嫌われたかと思った。やっと……やっと、美優が俺に振り向いてくれたのに、またすぐにどこかに行ってしまうのかと不安で仕方なかった」


あたしの肩に顔を埋めながら、苦しく呟く隼人にあたしの胸はきゅんと掴まれる。


あたしはそっと隼人の背中に腕を回して、震える隼人を抱きしめる。


「大丈夫だよ。あたしはもう、隼人の隣にしかいないから。今までと同じようにずっと隣にいる。隼人の隣はあたしの特等席なんだから」


そう………。


いつだって、生まれた時からずっとどんなことがあっても、あたしの隣には隼人がいた。


喧嘩した時だって、クラスの男子に泣かされた時だって、失恋した時だって、いつだってあたしの隣には隼人がいた。


いつだって、隼人はあたしの隣にいてくれたのにね。


今頃気がついてごめんね。


これからはずっと、隼人の隣にいる。


いつだって、どんなことがあっても、ずっと………。