隼人の部屋に入るのはもう何ヶ月ぶりになるだろう。
お互いの気持ちを確認しあえてからもいろいろあって、こんな風に隼人の部屋に入ることもなかった。
だから、最後に隼人の部屋に入ったのは、あたしたちが距離を置いた、その日からになる。
あいかわらずの部屋なのに、なぜかいつもとは違う緊張があたしを襲う。
今までは、何も気にせず入っていたのに、何?
この感情は………。
妙に緊張しているあたしがいる。
「どうした? どこでも適当なところに座ったら?」
いつもなら、遠慮のカケラもなく、自分の部屋のように振る舞っているあたしが何もせず、ただ立ち尽くしている姿に隼人は訝しげながらも、座るように促してきた。
う~…、こんなの自分でもわかんないよ~。
あたしは隼人に言われるがままに、ベッドに浅く腰かけた。
1人分空けたその隣に隼人がドスンッと勢いよく座ってくる。
座ってきた隼人の勢いにベッドのスプリングが軋みながら、微かに弾んだ。
「なに? わざわざ家まで来て。話って今日のことか? それなら俺、考えを改めるつもりなんてないからな………」
言うべきことだけを言って、プイッと顔をそむける隼人。
隼人がそう言ってくるのもなんとなくわかっていた。
だから、あたしは1度目を閉じてから隼人のほうを見た。
「ごめんなさい。あたし、自分のことだけで、隼人の気持ちなんて何も考えてなかった」
隼人はあたしが突然謝りだしたことに驚いた顔でこちらを向いてきた。
隼人にしてみれば、まさか謝ってくるとは思ってもみなかったのだろう。