「あら? 美優ちゃん?」
「こんにちは、おばさん。隼人いますか?」
玄関に入ると、あたしは靴を脱ぎながらおばさんに隼人の存在を聞く。
「え、ええ………。少し前に帰ってきたけど………」
あたしのいつもとは違うあまりの勢いにおばさんも少し驚いていた。
だけど、そこで今フォローなんて入れている余裕がない。
あたしはその言葉を聞くと、「おじゃまします」と言いながら、知り尽くした隼人の部屋へと一直線に突き進んだ。
コンコン
勢いに任せて、あたしは隼人の部屋をノックする。
ここで、考えて立ち止まってしまったら、いつまで経っても、隼人の部屋をノックすることはできないと思ったから。
返事を待つあたし。
だけど、少し経っても隼人からの返事は一向に聞こえない。
どうしたんだろう………。
もしかしたら、あたしだって気づいてわざと返事しないのかな?
でも………、そりゃそうだよね。
今日、学校であんなに喧嘩したのに、すぐには顔をあわせたくないよね。
あの時は、自分の気持ちだけを押し付けたけど、麻衣やお母さんと話して、いかに自分のことしか考えていないか気づいた。
隼人はこんな自分のことしか考えずにひどいことを言ってしまったあたしのことなんて愛想尽かしちゃったかな………。
自分の今日の隼人に向けての言葉を思い出して、あたしは深くため息を吐いた。
その時―――――
カチャ