「なんだよ、それ。じゃあ、美優は俺が香取と付き合えばいいと思うのか?」
「だから………。どうして、そういう話になるわけ? 違うでしょ。もっと、香取さんの気持ちも考えなさいって言うの! 隼人の言葉は冷たすぎるよ。相手の気持ちのことなんて全然考えてない!」
こんな風に言うつもりなんて全然ないのに、売り言葉に買い言葉でなぜか喧嘩腰の言い方になってしまう。
「そんなのわかんねぇよ。俺はお前のことが好きだから、お前を1番に考えていきたいんだよ。だから、香取が傷つこうとも俺は今回の言い方が間違っているとは思わない」
「隼人!」
隼人の目は真剣であたしをまっすぐ射抜くように見つめてくる。
まるで、自分は絶対に間違っていないと主張しているようで。
だけど、あたしだって納得できない。
人を傷つけてまで、それで自分が幸せになって………そんなの本当の幸せじゃない!
あたしたちの意見はどこまで言っても、きっと平行線なんだ。
交わることなんて絶対にない。
「俺は間違ってないから………」
隼人はまるで言い捨てるように一言吐き出すと、あたしのことを振り返ることもせずにまっすぐに歩いていった。
どうして、こんなことになっちゃったんだろう。
あたしは、ただ自分だけがいいとは思わなかったから。
香取さんの苦しい気持ちもわかるから、だから―――――
だけど、それは間違っているの?
もう、わかんないよ………。