拝みこむニ岡を少しの間見ていたが、あたしはプイッと顔をそらし、二岡を置いてその場を立ち去る。


「ちょっと、待てよ。佐倉! どうして、今日はダメなんだよ」


ニ岡は納得がいかないのか、あたしに追いつき、隣を歩きながらも不服そう。


だけど、これはあたしにも譲れない。


あたしは隣を歩く二岡をキッと睨むと思いっきり、言ってやった。


「今日だけじゃないの。これからは絶対にダメ」


「なんでだよぉ~………」


意味がわからないといった感じで口を尖らせる二岡。


そのあまりにも子供っぽい仕草にあたしはため息を吐き、足を止めた。


「あのね…。あんた、ここ最近毎日じゃない。今日のリーダーだけじゃなく、古典に数Ⅱ、この前はライティングだっけ?」


「え~? 俺、そんなに見せてもらってた?」


白々しく大げさに驚く二岡。


あたしのこめかみがピクピクと怒りに反応していた。


「そんなものじゃないでしょ。それ以上にあんたはあたしに宿題見せるように要求してんの! はじめは大目に見てたけど、さすがにやりすぎでしょ。いいかげん、自分で宿題してきなさい」


「え~~~!? じゃあ、わかった。今度からはちゃんと自分でしてくる。でも今日だけは、なっ?」


片目でウインクなんてあたしにしてくる。
あたしはその気持ちの悪いウインクから避けるように1歩後ろに下がった。