好きだと気づいてすぐに付き合える。
そんな単純なものだと恋なんて思っていた。
だけど、自分がいざそういうことになるとあたしはとんでもない複雑な中での付き合いになることとなった。
隼人が香取さんのことをはっきりさせるように、あたしも目の前のことをきちんとさせなくては………。
そう思い、あたしは早速行動を起こした。
「ごめんね。貴重な放課後にこんなところに呼び出して」
「いや。別に、大丈夫」
両手を合わせて謝るあたしに、目の前に立つ二岡は『大丈夫だ』と優しく言ってくれる。
あたしは、ふと二岡の顔を見る。
あたしはこんな風に二岡のことをまっすぐに見つめたことがこれまであったのかな?
二岡はきっと、あたしのことを見てくれていた。
それを知ることができなかったあたしはきっと二岡のことを仲が良くても、きちんとは見ていなかった。
「なに?」
ジ~ッと見つめるあたしに怪訝な表情で聞いてくる二岡。
なんとなく、言いづらいあたしは言葉を濁す。
「う…うん………」
言葉を続けることができなくて、つい両手の人さし指をツンツンとつついてしまう。
そんなあたしの姿を見て、二岡はフゥ~…と息を吐いた。