「何言っても無駄なんですか?」
「あぁ、今回ばかりはお前の意見は聞かない。」
何てこった、私に選択肢すら与えてくれないのか。
あー、そういえば、先生一回決めたこと曲げないって先輩達言ってたっけ。
「なんだよ…俺といるのがそんなに嫌なのか?」
いやいやいや、そんな訳ないじゃないですか。
「いや、その……逆に、先生がいいんですか?」
先生、解ってますよね?
私、生徒なんですよ?
「…それはお前が生徒だからって事?」
「…はい。」
だって、こんな事がばれたらどうなるか。
嫌でも想像がついてしまうんだよ。
私のせいで先生が教師でいられなくなってしまうなんて絶対嫌だ。
「…そんな事、考えなくていい。」
「で、でも…っ!!!」
「ははっもう今更だろ?既に家にまで来てんだから。」
はにかんだ先生の姿は何だか可愛くて。
でも、ちょっとバカにされているみたいで。
「って、そういえば…何で私は先生の家にいるんですか?」
先生の家という発言で思いだした。
目が覚めてからずっと気になっていた事。
何故私が先生の家にいるのか。
確か私は自分の家に帰してくれと頼んだはずなのに。
興味本位から疑問に思っていたことを聞いてみると、先生の顔が曇っていった。
「へ?あの…先生?」
おかしい、さっきまでのはにかみは何処へいったのですか。