「もしもし?」





『あ、伊緒?良かったは出てくれて。部活は終わったの?』





あ、そうだ…お母さんに今日は休みだって事言ってなかった。





「うん、今終わったところ。」





とっさに、嘘をついてしまった。





なんとなく本当の事は言ってはいけない気がして。





それに、風邪で倒れた事なんて言える訳ないし。





言っても無駄だよ……ギシッ





「!!!?」





突然の音とベッドの沈みに驚き横を見ると、先生が私の隣に座って会話を聞いている姿が目に映った。






『そう、終わったの。あ、それで本題なんだけど、今日私もお父さんも帰れそうにないから。だから夕飯一人で食べてくれる?』






「…うん。解ったよ。」






今更何言ってんの?





毎日毎日、いつだって一人で食べてるよ。





今日は、何か仕事でいい事でもあったのかな。





機嫌がいい時でないとこんな電話してくるはずない。






『じゃぁ、それだけだから。切るわね。』






…なんて素っ気ない会話なんだろう。






「あ、ねぇ、待って。今日金曜日でしょ?明日休みだから友達の家に泊まってきてもいい?」






『ええ、いいわよ。勝手にしてちょうだい。じゃぁね。』






「あ、うん、ごめんね余計な事聞いて。…仕事頑張って。」