「も、ぅ…いいです、自分で帰ります。」
「え、おい、伊緒っ」
立ち上がった私の腕を瞬時に掴む先生。
今の私は、その力にでさえ少しふらついてしまう。
でも、
「もうほっといてくださいっっ」
バンッ!!
熱なんて関係なく勢いよく腕をはらい、そして残りの力を振り絞って走りだす。
きっと、このまま先生と話してると弱音を吐いてしまう。
そんな今まで誰にもしてこなかった事をしてしまったら、これから私は絶対に耐えられない。
「おいっ!!」
先生の声を背中に感じる。
教官室をでると、春の風が肌寒く感じた。
「片瀬っっ!!おいって!!」
あ、先生追いかけてきてる。
どうしよう風邪のせいかな、体力の限界がもう近づいている。
「こないで…先生…。」
小さな声でずっと言い続けた。
でも、先生にそんな言葉は聞こえてる訳はなくて、どんどん追いついてきた。