「やめろっそんなにこするな!!目の周り真っ赤になってんだろっ!!」
そう言いながら、先生は優しく服の裾で涙を拭っていく。
「何で無理に止めようとすんだよ。」
「だ…って…ひっく。」
先生困るでしょ?
こんな所で、こんな状況で生徒なんかに泣かれたら……
「言っとくけど、迷惑とか思ってないからな。俺はただ、伊緒が泣いている理由を考えていただけだよ。」
「え……」
「まぁ、事情を知らないから何も解らなかったけどな。」
先生、あなたはエスパーか何かですか?
まるで私の心が見えているかのようなセリフ…。
「うっ…ひっ…せ…んせ。」
「ん?」
この人は何て優しい顔をするんだろう。
でもね、先生ごめんなさい。
泣いている理由は私にもイマイチ解らないの。