「あ、れ?わたし……」






目が開いて状況を確認した伊緒は、少し驚いた表情を見せる。






今度はさっきのような事にはなっておらず、きちんと現実だと理解しているみたいだ。







「伊緒、お前すごい熱だぞ。親御さんと連絡とるから、携帯かせ。」







「え…?親、と?」







「今日病院やってないし、俺じゃどうもしてやれねーから親御さんに迎えにきてもらう。ほら、携帯。」







「…………。」







「伊緒? 携帯。」







俺の声は聞こえているはずなのに、何故か伊緒はいっこうに動こうとしない。







しかし、伊緒の目線の先にある鞄のポケットからは携帯が見えており無い訳ではない。







「………?」







身体を動かすのが辛いのかと、伊緒の代わりに鞄へと手をだす。









「だ…め、絶対駄目っっ!!!」








すると、いきなり鞄に飛びついて、そして携帯を隠されてしまった。









「おい?」






何で駄目なんだよ。







何でそんなに必死に拒むんだよ。







お前、酷い熱なんだぞ?