「伊緒、こっち向きなさい。」
先生の言葉に顔を元の位置に戻すと、視線と視線がぶつかる。
先生、真剣な顔してる…。
「伊緒、お前当分素直にならなくていいぞ。」
「へっ!?」
な、なんで!?
先生が素直になれって言ったんだよ!?
しかも、素直になるならないで喧嘩までしたのに、結果それ!?
急に発せられた言葉に驚きながら先生を見つめると、横を向いて唇を少し噛んでいる姿の先生が目に映った。
「……先生、顔が…真っ赤…。」
もしかして、あの夜と同じように照れてるの…?
「素直にならないと心配で仕方がないけど、素直になられると俺が恥ずかしすぎて死ぬ……。」
横を向き顔を隠すように口に手を当てて話す先生が、たまらなく可愛くみえる。
…私、また先生にキュンとしてる。
一体私は何回先生にキュンとしたらいいんだろう…。
なんだか、一緒にいるだけで何度も先生にキュンとして、そのたびに惚れ直してる気がするな…。
「先生…。」
「…んだよ。」
ふふっその怒った口調は照れ隠し?
それとも、あまりの恥ずかしさに本当に拗ねているの?
少し先生をからかうように、でも本当の気持ちをこめて先生に微笑む。
「私のこと、離さないで下さいね?」