先生の声に身体が少しビクつく。
案の定、先生は2人きりになった瞬間にさっきの言動を問いつめてきた。
しかも、いつも見せるあのいじわるな笑顔で。
「もしかして、俺の事考えてたの?」
「……ち、違います。」
「嘘、考えてたろ。」
どうしてだろう、見つめてくる先生の瞳は、私の考えを全て見透かしてるようにしか感じられない。
「もういいじゃないですか…。さっきのことは今すぐ忘れて下さい。」
忘れてくれないと、『先生の事考えてニヤケてました』なんて恥ずかしい事を、本人に言わなきゃいけなくなる。
「は?嫌だ。気になるだろ。」
「嫌じゃないです。だだこねないで下さい、子供ですか。」
「うるせーな、子供なわけないだろ?いいから早く何でか答えろ。」
淡々と言いかえす私の頭に、先生は華麗なチョップをお見舞いした。
「いったぁっ!!あー、もう絶対言いませんから。何があっても先生には言いません!!」
今のチョップの痛みで少しだけ不機嫌になった私は、さっきよりツンツンした話し方になる。
「お前、ほんと素直じゃないよな。」
…は?
今のこの会話のどこに素直さが必要なわけ?
「意味わかんないんですけど…。」
「あ?」
「先生が言ってる意味が全然解んないって言ってるんです。」
「なっ、だから…」
「あの、なんでこの短時間で喧嘩してんの?」
「「!!!!!!」」