自分の不可思議な言動に気づいた時には、もう何もかも手遅れだった。
詩衣は少し引いた表情で私を見ている気がする。
「いや、さっきのはその別に何でもないんで…気にしないで下さい。」
「何にもなくてそれはキモイよ、伊緒。」
「ちょ、ひどっ!!普通そこまで言いますっ!?」
詩衣の言葉がぐさりと胸に刺さる。
まぁ自分が悪いんだけども…それでも面と向かってキモイはないでしょ。
「なぁ、どうでもいいけど…お前達部室の鍵取りにきたんだろ?そろそろ他の部員もくるぞ。」
私と詩衣の言い合いを無言で見ていた先生が、突然口を開く。
そして、その言葉にハッとした私達は顔を見合わせて少しだけ笑った。
「そういえばそうだったね。」
「うん、そうだった。」
「じゃぁ私取ってくるから、伊緒は待ってて。」
「え!?ちょっと!!」
「さっきキモイって言ったお詫びに、今日は私が取りに行ってあげるー。」
あ、あぁ……行ってしまった…。
私の声に振り返りもせずに、詩衣は教官室へと行ってしまった。
どんな状況であろうと、私と先生を2人きりにするなんて…。
詩衣のバカーッ!!
「で、さっきのあの発言は何?」
「!!!!」