「伊緒、話せるか?」
「……………。」
「俺じゃ話せない?」
「ちがっ……そうじゃないんです…。」
先生、そんな顔しないで。
そんなに悲しそうな目でみつめられたら苦しくなる。
「えっと、あの……」
「うん。」
「…………っっ」
先生に思ってる事を言うのはすごく怖くて、言葉がつまってしまう。
きっと先生は怒るんだろうな…『そんな訳ないだろ』って。
俺は大人とか子供とか気にしてないって。
「伊緒?」
本当は先生に一番に話しを聞いて欲しかった。
でも、その反面なんて言われるか怖くて話したくなかった。
「…うっ…ひっく。」
先生に、嫌われることが怖い……。
「伊緒?」
先生の呼びかけに答えるように、下を向いたまま話し始める。
「先生の相手が、私なんかでいいんですか?」
「……どういう意味だ。」
先生の声、少し低くなった気がする…。
「先生は大人で、私はいつまでたっても子供です。さっきスーパーで言われたみたいに、私と先生は兄妹とかにしか見えないんですよ?…私なんかが彼女じゃ、先生が周りになんて思われるか……」
ギュッ
「…せ、んせ?」
話しの途中で、先生は私を思いっきり抱きしめた。
「…ざけるな。」
「え……?」