「甲田先生、時間は守って下さい。」
「時間?……あ、もしかして。」
「片瀬さん、後五分で予鈴じゃなくて本鈴がなりますよ。意味、解りますよね?」
え、進藤先生きもちわるっ!!
何ですかその敬語っっ!!
さっきはあんな話し方だったのに!!
今の進藤先生はきっと猫を被っているのだろう。
にしても、さっきと態度違いすぎでしょうが。
「かーたーせーさーん、聞いてますか?」
「あ、はい。本鈴が……」
…ん?
………本鈴?
あと…五分……。
五分!!!?
「ぎゃーっ!!授業におくれるぅぅぅーっっ!!!!」
近くにいた先生をお構いなしに教官室を飛び出し、教室に向かって猛ダッシュした。
やばいやばいやばい、完全に時間を気にしていなかった。
正直、今回は進藤先生に感謝しなければならない。
あのままだったら授業をサボっていたのは間違いないだろう。
まぁ……少しだけ、邪魔者のようにも感じたけど…ね…。