「伊緒……伊緒。」
「ふふ、何回呼ぶんですか?」
ぎゅう…
まるで抱き枕を抱くかのように強く強く抱きしめる先生。
どうしたんだろう。
さっきまで笑っていた先生がいきなり静かになってしまった。
「先生…どうしたんですか?」
いつもの先生じゃないよ…?
「俺…実はちょっと怖かった。」
弱々しく、でもしっかりと私にそう告げる先生。
先生が…怖かった?
「だって、俺は10も年上だろ?伊緒が好きだって言ってくれても、それは一時の熱なんじゃないかって…。」
「そんなことっ…」
「知ってる、お前がそんな奴じゃないってことは。…でも、進藤先生に色々言われちゃったからかなぁ。不安が全然消えなかったんだ。」
え、進藤先生?
「何言われたんですか!?」
先生をそこまで追い詰める進藤先生の言葉って…。
正直聞きたい。
「んー?ははは、内緒。」
「そこまで言っといて…。」
「いいの、今は伊緒がこうして横に居てくれるんだから。」
「……ばかぁ。」
急に弱々しくなったと思って心配したのに、いつの間にか強気な先生に戻ってる…。