―――――――……
勢いで教官室の前まで来たけど…。
いざここまで来たら、どうやって入ろう。
いつもみたいにノックするべき?
いや、それとも普通に何もなしで入るべき?
「……あ、電話。」
そうだよ電話してみよう。
制服のポケットから携帯を取りだし、リダイヤルのボタンを押す。
そういえば、私から先生に電話するのは初めてな気がする…。
プルルルル…
『どうした?』
「!!!!!」
まさかのワンコールで出るという…心の準備出来てなかったんですけども…。
ガチャッ
え?
「…あ、こ、こんばんわ。」
しかも、私の言葉の直後にドアを開けるという…。
先生、いきなりドアあけないで下さい、電話に引き続き心の準備ができてないです。
もう少しくらい、私に心の準備をする時間をくれたって…。
「ははっ、もう電話じゃなくても聞こえるぞ?」
笑顔で出迎えてくれた先生に、内緒だけど少しキュンとした。
先生が開けたドアの向こうからは、コーヒーの良い匂いがする。
この匂い、好きなんだよね。
「どうぞ、どこか適当に座って。」
「…はい。」