私、今お母さんに叩かれた?
「あんたに私の仕事をバカにされたくないわっ!!」
なんで、なんで私が叩かれなきゃいけないの?
私、そんなに間違った事言った?
「何よその目。…だからあんた嫌いなのよ。」
「………は?」
「昔からいい子ぶって、何に対してもヘラヘラしちゃって。嫌いなのよ、あんたみたいな人間。」
「…………。」
「何か言いたそうね。言いいなさよ。」
お母さんの本音は、それだったの?
ずっと、私にそう言いたかった?
それに、お母さんが私にそう思うなら、きっとお父さんもそう思ってるよね。
「…じゃあ、どうすれば私は二人から愛されたの?」
「え…?」
「良い子でも愛してもらえないなら、私はどうすれば良かった?ねぇ、教えてよ……私は、私は誰に望まれて産まれてきたっていうの?」
「い…お……。」
「私は二人の事大好きなのに…。」
「っっ!!!!!」
「部屋戻るね…おやすみなさい。」
「あっ、まっ、伊緒!!」
お母さんの声を無視して部屋への階段を駆け上がる。
扉を閉めて耳を澄ましても、追いかけてくる音は聞こえない。
自分の部屋は、まるで冬のように冷えていた。