「あらー伊緒じゃない!!おかえりぃ~。」
「…お母さん。」
リビングにいたのは、お母さんだった。
でも、明らかにいつものお母さんではない。
部屋いっぱいにお酒の匂いがするし…。
「どうしたの、こんなに早くに帰ってきて。しかもお酒なんて飲んで…。」
確かお母さん、お酒弱いはずなのに。
昔、接待でも烏龍茶しか飲まないって言ってた気がする。
「いいじゃない、たまには私も飲みたいのよっ!!」
「…何か仕事であったの?」
ピクッ
私の言葉に、グラスを持っていた手の動きが止まる。
あ…まずい事を言ったかもしれない。
お母さんの目が見開いたまま、戻ろうとしない。
「…るさいわね…。」
「え?」