「なぁ、伊緒。」
「…はい。」
先生の声と鼓動の音が重なってドキドキする。
何で先生はこんなにも落ち着いていられるのかな。
「今更なんだけど…親御さん、普段から電話に出ないのか?」
ドクンッ
今までとは違うドキドキが胸から鳴りはじめる。
「…え、なんで、そんなこと?」
「いや、電話したらどちらとも出なかったから。そうかなって。」
「先生、親に電話したんですか?」
「ん?あぁ。病院にお前を迎えに来てもらおうと思ってな。勝手に携帯借りた、すまん。」
なるほど…普通なら迎えにきてもらうもんね。
先生がわざわざ送ってくれるなんてありえない。
「そうだったんですね…。すみませんでした、色々ご迷惑をおかけして…。」
「ふはっ、そんなの今さらだろー?」
「え、あ、そ…そうですよね。」
うわ―――……。
今の言葉、なんかキュンキュンした。