「ったく、大人しくしてろ。」
目を微かに開けると、そこには先生が居るように見えた。
それに、いつの日かの記憶にある匂いが私の鼻をかすめる。
「片瀬、大丈夫か?」
「ん…は、い………」
「…ならいい。急に起きたら駄目だろ?」
あぁ、やっぱり先生だ…。
この声にこの手、話し方、そして…この温もり。
あれ、そういえば帰り道で先生に会ったような…。
「先生、何でここに…?」
「話しは後、まずはベッドに戻るぞ。」
そう言った瞬間に私をお姫様抱っこし、先生はベッドへ歩き始めた。
きっと、一生で一度のお姫様抱っこ。
まさか先生にしてもらえるなんてね。
「すいません…ありがとうございます…。」
この様子だと、私を家まで連れてきてくれたのも先生なんだろうな…。