「せんせ…?」
手を伸ばして先生の髪に触る。
すると、先生の髪からは私の髪と同じシャンプーの匂いがした。
いつもの先生の匂い。
それが、今日は自分と同じ匂い。
ただそれだけの事がたまらなく嬉しくて、胸がきゅんとする。
そういえば、今着ている服からも、布団からも、何もかもが先生の匂いがする。
「………ふふふ」
こんな事考えるなんて私も相当な変態だな。
そう思いながら、もう一度先生を見る。
「………あ。」
先生を見ると、自然とその周りにも目がいった。
ずっと看病していてくれた事が直ぐに解る。
体温計や何枚ものタオル、溶けてしまっている氷の袋、沢山の物が床に散乱していた。
また顔がにやけてくる。
先生って几帳面にみえて実は大雑把なんだな。
ちょっと意外かも。
昨日から、今まで知らなかった先生が沢山知れている気がする。
何だかそれが私だけの特別みたいで嬉しいな。
「ありがとう、先生。」
昨日の出来事から少し大胆になっている私は、そう言って起こさないように、先生の頬に優しくキスをした。