心臓が凍る。
指先の感覚は無くなり、瞼は閉じてしまいそうだ。


そうか。
あの時も…

僕が悪魔になったあの日も、僕は大悪魔に操られていたんだ。

『…そうやって貴方は、また僕を操るんですね』

くらくらしながら、僕はそう呟くのが精一杯だ。

『操る?私は、そんなことはしていないぞ?』

大悪魔は、大袈裟に悲しそうな顔をする。

『…嘘だ』

『嘘ではない。お前が望んだんだろう』


僕が望んだ?

分からない…

曖昧な記憶を呼び戻そうとしたが、あまりに遠すぎて、僕は思い出すことが出来なかった。