ある日の夜、あたしを初めてクラブに連れていってくれた先輩たちと、行った事の無いないクラブに行った。
「そっかあ。りさ、あのときからそんなことがあったんだ?それにしてもSTAR-ACEって怖そうなのに良い人なんだね!(笑)」
向かう途中の車内で今までのことを話した。
「はい・・・だから最後に電話した時自分から電話切っちゃったから気まずくて・・・」
「・・・じゃあちょっと今からはまずいかな・・・」
「へ?今なんて?」
「や・・・別に・・・」
先輩は意味深に何かをつぶやいた。
小さいビルに着いて2階に上がるとクラブがあった。
「ここ小さいフロアだけど、まじで楽しいんだよ!」
重いドアを開けるとタバコのニオイ、酒っぽいアルコールのニオイ、香水とかの色んな香りがした。
爆音で音は流れ、DJは隅っこで曲を流している。
みんな酒を片手に笑っていた。
・・・え・・・あの人たちハグしてる?キスしてる?
今までのクラブでは有り得ない光景だ。
フロアでナンパはたくさんあったけど、あそこまでイチャついてはいなかった。
「ここは小さいから、なんでもありなんだよ!!」
小さいから、という理由で治安が悪いわけね。
気をつけないと。
【じゃあ登場してもらいまっしょー!次のグループはD.S.Bでーす!】
キャー!!!
ワーッ!!
女の人や男の人が騒ぎ始めた。
「りさ!あっちいこっか!!」
「えっ?今からのグループ聞きましょうよ!?」
「いや!見ないほうがいい!!」
先輩はあたしの手を掴む。
「なんでですかーっ?!」
「いいから早く!!!!」
曲が始まり、あたしたちは群れから離れた。
先輩が嫌いなアーティストなんだろうか?
先輩が行動した理由はすぐには分からなかった。
「キャー!いっぺいかっこいいーっ!!」
―――・・・群れの中の女の人の声を聞くまでは。