そんな汚い大人の世界を、小さい頃から見せられてきた俺は、いつの間にか人と関わる時には自分を隠すようになっていた。



公務に出てもニコリとも笑わない俺を見て、人々は冷酷王子と呼ぶようになった。



何処に行ったって、俺を知らない人はいない。



ラルストン国の王子だと知れば、人が変わったように媚びてくる。



俺自身を見てくれない人ばかり。




そんな俺にだって自分を晒し出せる友人くらい数人だが、いる。


マシューだって、友人というより俺の全てを知ってくれている第2の父の様な存在だ。




そんな本当の俺を知ってくれている、大切な人達が俺の周りに居てくれれば、周りに何と言われようとかまわなかった。





いつもの様に、無表情のままその人影に声をかける。



早くこの場所から去っていって欲しくて。





*