「もう暗くなったからここにいては危ないよ?帰ろう?」



帰ろうと言われて、千波くんが一人ではなかったことを思い出してベンチの方を見てみた。



そこに千波くんと一緒にいた女の子はいなかった。



「か、彼女さん……は……?」



私の言葉に千波くんがクスッと笑う。



「先に帰ってもらった それにあの子は彼女じゃないよ?」



彼女じゃないと聞いて、私は嬉しくなった。



だけど、涙は止まらなくて……。



千波くんが私の涙を拭きながら「目が真っ赤で、うさぎのようだね」と言う。



辺りが暗くなって、外灯が点き始めた。