それは千波くんが握っているんじゃなくて、女の子が千波くんの手に重ねている。



そんな感じなんだけれど、千波くんは外さずにそのままきれいな笑顔を浮かべている。



私の口から深いため息が漏れた。





帰ろうかな……。


ママ、心配してるかな……。


おけいこが嫌で出て来ちゃった……。



おけいこの事を思い出していると、だんだん悲しくなって目に涙が溜まってきた。



瞬きをすると、ピンクのスカートに涙が落ちてそこだけ濃い色になった。