「あっ…えっ…」

驚き慌てて蛇口を
ひねってしまった。


水が勢いよく吹き出して 私の髪を濡らす。


目の前にいた彼は
違うクラスの同級生。


もちろん彼も
ずぶ濡れで。


「ごっめんなさい…!!」

「うわー…最悪…(笑)
でも…涼しーっ!」

彼の嬉しそうな表情を
意外におもった。


「どうもすいません…
これ、どうぞ、」

そういって
ティッシュを数枚渡す。

「さんきゅ。何組?」

「えっと2組。西田くんは3組だよね?」


「…知ってんの?」

「マリの元彼…でしょ」

「そーゆーコトかっ…!」

「…………………」

変な沈黙が流れる。

(何で元彼の話
出しちゃったんだ…)


゙後に悔やむ゙と書いて
゙後悔゙。

ほんとうその通り。


初対面の人に
失礼だよね…

「ごめんなさぃ…」


「ハァー…。アンタさ…
謝ってばっかだと
損だよ。」


「は…?」

私の頭が疑問符で
いっぱいになる。




「もっと笑いなよ。」



何気なく…
言ったのだろう。


でもその一言を言われて
あたしは掌の
汗を握りしめた―。