―7―
体育館に戻って、寺地先生に入部を願い出た。

待ち兼ねたと言い、大いに歓迎された。

部活終了後に小森に声を掛けると、ゴメンと言って避けられた。

後ろから手を掴み、振り返らせて、頭を下げた。

「俺と付き合ってください!」

小森は首を横に振り、小さな声でゴメンと言った。

「あいつに何されたか聞いた。聞くつもりなかったけど、あいつが話してんの聞こえてきてさ…」

「だったら尚更無理じゃない…」

「お前がいてくれたら頑張れるから。里織のために頑張るから。傍で見ててくれないか?あの時の試合みたいに」

彼女の目に、次第に涙が溜まってきた。

「ちょっとだけギュッてして…」

彼女を抱き寄せて、体を包み込むように抱き締めた。

その途端に彼女は号泣した。

落ち着くまでそのまま抱き締めていた。

「ねえ慎ちゃん。キスしたことある?」

急に鼓動が早まった。

「いや、ないけど…」

「私、好きじゃない人に奪われちゃった…。ゴメンね…」

彼女の前に片膝を着き、唇を重ねた。

「身長差があるから、変な恰好になっちゃうね」

そう言って彼女は微笑んだ。

「どうして良いかわかんなくて…」

「わかんなくていいよお。これから練習すれば良いんだもん」

しがみついてきた里織が愛しかった。

「今はまだ【L-plate】なんだから!」

「何それ?」

「仮免許ってこと。早く【license】がもらえるように頑張ろー!」



―エピローグ―
数日後…。

寺地先生に呼び出された。

「慎、お前の入部は凄く嬉しい…が!しかし、問題は起こすなよ?特に!バッシュで人間を踏んだりしちゃいかんぞ?」

あいつか?と思ったら…。

「誰が言って来たわけじゃないが、顔に靴の形が着いてたら不思議に思うだろ?あんなデカイ足…。先生も、あいつにはたっぷりとお目玉を食らわしてやったがな」

言うことはそれだけだと言って、部活に戻れと言われた。

「余計な世話かも知れんが、あいつを大事にしろよ」

最後に付け加えられた。