「小森って、部活中と雰囲気違うな?話し方とか…」

「当たり前じゃあん。部活ではキビキビ、ハキハキ!男子と話す時は、甘えん坊〜」

更に寄ってくる。心臓の音が聞こえてしまいそうだ。

「なんでやらないのか知りたいなあ」

完全に俺の心が読まれてるみたいに、くっついてくる。

マズい…非常に…多感な少年には刺激が強過ぎる。

「おう、三浦!押す、小森!」

隣りのクラスから俊哉が来て、残念なような…ホッとしたような…。

俊哉と小森は高嶺中で元々知っていたようだ。

「小森は中学時代にバスケ部だったのか?」

「違うよ。帰宅部。バスケは応援専門だった。緑中の試合も見てたよ」

高嶺中VS緑中の試合内容を詳細に説明し出した。

「よく覚えてるな?マネージャー兼任スコアラーが出来るよ」

「良かったら三浦の専属マネージャーになるよ?」

そんなことが軽く口に出せるなんて、発展家なんだと感じた。

その日の昼休みに小森と男が争っているのが見えた。

―5―
相手は二年生で、いかにもバンドやってますみたいな髪型をしていた。

小森に迫るが、拒否されているようにも見える。

気にはなるが、知らん振りした方が良さそうだ。

「シーン!慎ちゃん!待ってよー」

始めて名前で呼ばれた上に、腕に抱きつかれた。

「この人が新しい彼氏だから!もう関わらないで!」

はあ?なんだこの状況…?

「慎ちゃん一緒にご飯食べよ!」

「もう食べたよ。それより今のは?俺、彼氏じゃないよ?」

「深く詮索しないの。今から付き合えば良いんじゃない?」

呆気にとられたが、嬉しくもあった。

どこまで本気にして良いんだろう…。

「ねえ、私と付き合ったらバスケできるよね?それとも…私じゃダメかあ…」

恋のドキドキとは違う動悸が胸を襲った。

なんでバスケを離れた理由を知ってるんだろう?

小森はパンに齧り付きながら笑顔を見せた。

「なんで…知ってるわけ?」

「緑中の女子マネから聞いた」

口の軽いマネージャーが一人いた。