「キャプテンの高橋です。今年の新入部員は、各運動部と取り合いするくらい、優秀な一年生が揃っているから我々も勧誘に必死です。でも、無理強いは出来ないから自発的に入部して欲しい」

主将の言うように、バスケに限らず、中学時代にそれなりの成績を挙げた選手が何名かいた。

俊哉は水泳、俺も陸上と掛け持ちしていた。

「但し!鈴木と三浦は何がなんでも入部してもらうつもりだ」

名指しで強制入部させると言われた。

「お前たちには入部してもらわなきゃ困るんだよ。頼むぞ!」

「ハイ!」

俊哉は頼りにされたことが嬉しかったのだろう。

「三浦も入ってくれるんだろ?」

即答出来ずに沈黙すると、俊哉が一緒に入部すると言った。

「ちょ、ちょっと待ってください!俺はまだ決めてません」

「即決しなくて良いよ。でも真剣に考えてくれよ?」

バスケを続けることに踏ん切りがつかない俺は、この場にいたら失礼な気がした。

「高橋君!彼女たちマネージャー希望者」

女子顧問の渡辺先生に紹介されたのは、さっきの二人組だった。

「まずは体験入部という形でやってもらうから、宜しくね」

高橋さんと二人の女子マネは挨拶を交わした。

その時も彼女はこちらを見ていた。

「小森里織です!バスケ部のために頑張ります!」

里織はこちらに笑顔を見せた。

同じクラスの女子がマネージャー、って恋のパターンか…。



―4―
それから毎日俊哉は練習に参加している。

期待度がかなり高く、それが俊哉のモチベーションになっているのだろう。

俺には熾烈な勧誘争いが勃発した。

バスケ部VS陸上部に、ラグビーが割って入ってきた。

俺はどれも断り続けたが、寺地先生に俊哉に高橋さん、女バスの渡辺先生にまで誘われている。

そこへ里織が加わった。

「三浦ぁ。バスケしようよお」

甘ったるい声で寄ってくる。

「やりたくなったらやるよ」

素っ気なく答えた。

「いつやりたくなるの〜?」

なんだか良い香りがして、目を合わせるのが恥ずかしくなった。