「今日から一年間宜しくな。生活指導も行うから覚悟しておけよ」

更に驚いたのは、男女バスケ部の統括顧問だった。

俊哉が知ったらビビるだろなあ。

「ホームルームはこれにて終了!みんな気を付けて帰れよ」

教室を出ようと立ち上がった時、寺地に呼び止められた。

さっきのことかと思って最初に謝った。

「何謝ってんだ?なんかしたのか?」

「あ…、式の最中に話してたことで…」

「そんな終わったことで、ネチネチ繰り返すようなことしないぞ」

「はあ…?」

「慎、お前バスケ部入るだろ?お前の入学を楽しみにしていたんだぞ」

「あの…、俺まだ決めてないんです」

「何か重大な理由でもあるのか?」

「そんな大それたことでは…」

「せーんせ!私たちバスケ部のマネージャーになりたいです」

横から二人の女子が割り込んで来た。

「マネージャーなら女バスの渡辺先生に言いなさい。体育館にいるはずだから」

二人のうち一人が、こちらを振り返りながら教室を出て行った。

「とにかく、即決は難しくても見学だけはしていってくれよ」

面倒なことになってしまったが、足は体育館に向いていた。


―3―
「あれっ?やっぱり来たかこのやろー」

俊哉は見学だけのはずが、上下一式着替えていた。

「俊哉、練習参加すんのか?」

「もちろん!そのつもりで来たんだ」

「バスケの統括顧問、誰か知ってるか?」

「寺地って名前だけは聞いたな」

「あのマッチョだぞ?」

俊哉の手からボールが落ちた。

「マジで…?」

「大まじめだよ。俺の担任」

「いっ!!大変だな…?お前も…」

「早速勧誘された。見学して行けってさ…」

「そ、そうか…。ご愁傷さま」

「全員集合!見学者も集まってくれ」

キャプテンらしき人が号令を掛けた。

男子バスケ部、女子バスケ部の各主将、副主将、それに各顧問の挨拶があった。

「私たちの他に統括顧問の寺地先生がおります。厳しいですけど、優しく頼れる先生です。これから一年間宜しくお願いします」

見学者が主将に呼ばれた。