ドクンッ。

胸が、叩かれたように弾む。


彼は無表情そのものの表情で、自動販売機にお金を入れている。


会いたかったような、

会いたくなかったような、


……複雑な気分。


なぜか身動きが出来なくなったあたしは、無意味に彼を見ていた。


そして彼はジュースを自販機から取ると、偶然にもこちらを見た。



「…っ……」



思わず目を見開く。


だ…だって、目が合ったんだもん…!

びっくりするよ。


だけど。あたしに気づいているのか気づいていないのか、彼は知らんふりをして歩き出した。


それにホッとしたのは、
きっと、気のせいなんかじゃない。