僕が、半分ほどベールを脱いだ時。

 ようやく、コレが、どんなダンスか、判ったらしい。

 舞台を見守っているご近所さんが。

 ソデに控えている僕のフラメンコチームのヒトビトが。

 息をのみ……

 あるいは、下品さに、眉を寄せて。

 ひそひそとしたささやき声が増して来た。

 その声は。

 僕が、本来なら僕が、ここに居ては、いけないしるし。

 そう感じて、ため息をつくと。

 僕は、舞台の右。

 上手側に視線を投げた。

 そこには、舞台演出上。

 男がいる部屋に繋がる、って言う設定で。

 本来ならば、ただの木の枠だけが立っているのだけども……

 僕の合図を見て、その木枠に向かって、すたすたと歩いて来たヤツがいた。

 そして。

 女に裏切られたと思い込んでいる男になりきり。

 木枠の前に仁王立ちした人影に。

 ホールは、爆笑の渦に巻き込まれた。

 だって、そこには。

 バレーの『白鳥の湖』に出てくる『王子様』の舞台衣装。

 カボチャパンツを履いた直斗が。

 顔を、大げさにしかめて、立っていたから。