二日がかりの祭りの後半の朝だった。
舞台本番は、午後四時でも。
この日は、午前中にも、祭り参加の男手として、駆り出され。
他の団体の出し物の設営や、片付けを手伝うことになっている。
ハニーの方も、朝から、僕が踊るホールより、少し離れた運動場つきの公園で詰めることになっていた。
もちろん、自分の菜園の生鮮野菜を売るためだ。
そんなわけで、僕らは。
何やら、ばたばたと動かねばならず……
ハニーは、僕ら二人が、別々になることをスゴく不安がってた。
ともすると、自分が切り盛りしなくてはならない屋台を放り出し。
僕の働いている、ホールの方に、のこのこと、顔を出しかねないハニーの前に。
小さな騎士(ナイト)が、ひょこっと顔を出す。
「螢のことは、心配いらないぜ?
なにしろ、俺がついてるんだからな!」
胸を反らして、ぐいっと顔を上げる。
なんだか、一丁前に見える彼に。
僕と、ハニーの声が重なった。
「「……直斗」」
「おう!
ハインリヒは、螢が、昨日変だったから、心配なんだろう?
大~丈~夫!
今日も俺が、ちゃんと見ててやるから!」
うぁ。
僕は、完全に子供扱いかよ。
しかも。
多分。
直斗は、昨日。
僕が動けなかったことが、風邪だったと……信じてるよな?
「……直斗は、午前中、シェリーや、ハニーと一緒に広場の方にいろよ」
もしかしたら、トシキは、僕のじゃなく。
直斗の方に、何かして来るかもしれない。
……多分、大丈夫だろうけど、相手の性格が判らない以上、用心に越したことはないのに。
直斗は、ぷぷぅ、と頬を膨らませた。