「……冗談じゃねぇ!」

「……だから、本気だって言ってんだろ?」

 くっくっく、と。

 のどで笑ってトシキは言った。

「お前のことが、気に入ったんだよ。
 儚い外見のくせに、それに似合わず根性が座っている所がイイ。
 オレに気圧されず、対等に話せる男は、珍しいんだ。
 しかも、お前。
 踊りが上手いから、動きに曲をつけるのも、すげー楽しい」

 そう言って、トシキは、僕のクビに、もう一度、唇を落とした。

「女じゃねぇのが唯一の欠点だが、お前なら十分勃つぜ?
 男を抱いたことはないが。
 女と同じやり方で、イイなら一時間半もあれば、十分だろ?
 なに、ちょっと長めの昼飯の時間ぐらいだ。
 お前の子どもは、結花が見てくれるさ。
 ……二人だけで楽しもうぜ?」

「……誰が、そんな誘いなんかに乗るかよ……っ!」

「外に出るのが、嫌なのか?
 それならここで、だって、オレは構わないぜ?
 ただ、バレて困るのは、行きずりのオレじゃない」

 トシキは、昔受けた傷をなぞるように、唇を這わせた。

 まるで、いつもハニーがするようなやり方に。

 意志とは関係ないカラダが、思わずびくびくっと反応する。

「……傷の場所も神経が切れて無いんだな……?
 それとも、神経がむき出しで、却って敏感になってるのか……」

「やめ……っ!!」

「やめてほしいのか?
 でも、カラダは、そう、言ってないぜ?」

 トシキは、僕をさんざん弄んだ挙句、ぎゅっと抱きしめて言った。

「……やべ。
 だんだんオレの方も余裕無くなってきたな……
 お前、抱き心地が良過ぎんだよ。
 まるで、本当に淡雪を捕まえているみたいだ……」

 僕を触ってゆくうちに。

 止まらなくなったのは、トシキの方のようだった。

 想いを熱い吐息に乗せて、トシキは、ささやいた。

「……我慢の限界だ。
 ここで、抱く」