ねえ、見てる?
これは、ずっとずーっと前の
ある女の子の物語。
咲き溢れる桜。
ざわざわ踊る花びら。
その満開の桜のなかに私がいた。
私、村上葵。
中学3年生のどこにでもいるごく普通の女子学生。
「あーおーい〜♪」
元気にスキップしながらやってきたこの子は私の親友の西谷佐奈。
「よっ!!」
佐奈のお隣にはいつものように彼氏さんの姿。
佐奈の彼氏、村崎陸。
そして、私の好きな人。
親友の彼氏が好きだなんてばみたいとか思うでしょ?でも好き。
見ているだけの恋だけど、どうしても諦められないの。
「相変わらずラブラブだね♪」
こんなこと言ってるけど、実はとても苦しいんだ。
「陸、行こ♪」
「おう!!」
なんで私は陸のことを好きになっちゃったんだろう…。
どうして親友の彼氏なの?
叶わない恋なんて、したって意味ないのになぁ…。