「頼玖…頼玖っ…!!!」


いくら走っても見つからない。
いくら探しても見つからない。
いくら呼んでも見つからない。


「うぅ……頼玖っ…」

私は涙でぐしゃぐしゃになった顔を袖でぬぐいながらその場にストンとしゃがんだ。



「何やってんだよ…」



その声と同時に何かが私の体全体にかぶさった。

男物の黒いコートだ。


「…へ?」

「ブッサイクな顔」


上を見上げたとたん、また涙が大量に流れてきた。

「頼玖…!!!」


「なした?いきなり俺が恋しくなってきたのかぁ?(笑)」

「うん…」


私があまりに即答したもんで、頼玖は少しびっくりしている。