「待って…!!」


私の声は、届くはずもなく。
頼玖の背中がどんどん遠くなっていくのがはっきりとわかった。


「…っ…」
何故かこぼれ落ちる大量の涙。

頼玖なんかどうでもいい…付き合う気なんてない…そう思ってた。

思ってたのに…。


「行かないで…」
頼玖が私の前からいなくなることが何より怖い。

私の好きな人は陸じゃないの?

このモヤモヤした気持ちはどうすればいいのっ…。



「いいのか?…追いかけなくて」


「え…」
ふと後ろを振り向くと陸の姿。

「り…く…?」

「何泣いてんだよ。…泣くほどアイツのこと好きだったんだろ?だったらこのまま別れていいのかよ。それに、付き合ってまだ1日目だろ?」

なんで陸がそんなこと言うの…
陸にそんなこと言われたら…


「私、行ってくる!!」


「おう!!それでこそ葵だな♪」
陸は寂しく笑った。
今まで見たことのない、それはそれはすごく寂しげな…。