私は絶句した。



なんと1時間に一本しかバスはなく、しかもついさっき出発していた。



1時間もこの暑い中待てというのか!!



落胆した私は時刻表と睨めっこしていたら、後ろから制服姿の男子が息を切らしながら走ってきた。



その人は携帯の画面と、バスの時刻表を見るなり大きなため息をつく。



ああ…この人もバスに乗れなかったのかな。



妙な近親感を覚えながら彼の背中を見詰めていたら不意に彼が振り向いた。



スッと通った鼻筋と、形の良い切れ長の目。少し色素の薄い瞳は黒というよりは茶色で。



芸能人のように華がある雰囲気を纏ったイケメンだった。



「朝日奈…優衣…?」



初対面なはずのイケメンは私の名前を呼ぶ。



あれ…?学校にこんなイケメンいたっけ?



いやいやいやいや…私の学校は女子校だ。



「やっぱり優衣だ!!めっちゃ髪伸びたなー。かわいい!!」



男子に、しかもイケメンに話しかけられた私は硬直した。



か…か わ い い!?



チャラい!!ってゆーかそのフレンドリーさが逆に怖い!!



なんだかいっぱいいっぱいな私はできるだけイケメン君と目を合わせずに問い掛ける。



「あのー…誰デスカ…」



「忘れんなよー。ナオキだよ!!」



ナオキ…

なおき…

…………直樹。



「うそ!?直樹!?」


私の驚いた声が甲高く辺りに響く。


ぎらぎらとした太陽の日差しの中で。


髪も服も声も雰囲気も変わった君…でも…憎らしいくらい屈託のない私の大好きだった笑顔はあの頃のままだった……。





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