電車にゆらりゆられながら物思いに耽っていたら、いつの間にか降りる駅のアナウンスが流れた。



空港にて両親を見送った足で、私はキヨさんの家を目指す。



一ヶ月分の洋服や生活雑貨は既に郵送してある。



私は最低限の荷物が入ったショルダーバックの中からSuicaを出して電車を降りた。



駅のロータリーには人が疎(まば)らで、その中を私は颯爽と歩いた。



デニムのショートパンツとキャミソールにオフホワイトのシャツをひっかけているだけのラフな格好で。



すこしヒールの高いミュールから、カツカツと音がなる。



不機嫌な私は一層音を響かせながら歩いた。



県庁所在地から少し外れたこの町は、地方の割には都会らしいが、私からすれば田舎といったところだろうか…。



キヨさんの家は駅からバスで5個目の停留所から歩いてすぐのところにある。



早速、バス乗り場まで行くことにした。





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