俺は今見えてしまった色をリセットするように力を込めて目頭の辺りをほぐす。


そんなことより、何で錫代が一人で桜ヶ橋にいるんだ?


「おい、何であんたしかいない?」


「わっ、奏斗先輩!!」


俺が傍に行って声をかけると、錫代の体は跳ね、ひどく驚いた。


「び、びっくりしましたぁ。千秋先輩達来れないそうです。」


なんだよ、千秋最初からこれが目的かよ。


千秋の馬鹿らしい計画にハメられたことにため息が漏れる。


……じゃあ、錫代の気持ちにも気付いてたってことかよ……。


俺は千秋の思惑に思わず頭を抱えた。