俺は、ガサツなおふくろが管理しているとは思えない花でいっぱいな庭で、小さく舌打ちをした。


もう子供じゃないんだし、おふくろがどうこう言うなっていうんだ。


「どうした、奏斗?また母さんに怒られたか?」


少し擦れた低い声に導かれ、横を向けばニッカポッカ姿の体格のいい親父がいた。


親父は大工で、今なんかガーデニング好きなおふくろのためにウッドデッキを補修してる。


「あぁ、今追い出されたとこ」


「母さんは怒ったら聞かないからな。まぁ、行ってこい」


親父は渋くいかつい顔を、困ったように綻ばせ俺を見送る。


親父はおふくろと違って踏み込んでこないから、本当に楽だ。