「やっぱりここだったか――」


林の中で一際目立つ大木の脇から見えたのは、サンダルの爪先。


夏の暑い日差しを和らげるように生い茂った葉の間から、光が零れ落ちている。


そんなやわらかな木漏れ日をうけ、キャラメル色のボブヘアーは輝き、そよ風に揺れていた。


「昔からワンパターンで、成長してねぇな」


何の反応もない少女に、尚俺は呟く。


何ともいえない静寂を、葉の擦れ合う音が包み込む。


ここにいるのは俺と膝を抱えてうずくまるこいつだけ。


よく見れば、その少女のデニムの膝小僧は、濃い青色に染まっていた……。