悲しいかな、終電に間に合わないから仕方なく会場を後にした。冷た過ぎる風が一気に現実へと引き戻す。あんなにジャンプしたり叫んだりヘドバンしたのに、冬って、こんなに寒かったっけ。舞と見上げた心地の良い夜風とは違う種類の風がふいている気がする。心の中にまで寒さが染み込む。ファンは辞めないけれど、BLOODの活動は今さっき終わってしまった。BLOODの残して来た音楽と共に私はきっとRAIを追い掛けるだろう。だけれど今の私は魂が抜けた。脱け殻になった。義則が居るのに重たくなってしまった口は動かない。私は言葉を失ってしまったのだろうか。
とぼとぼと人混みに、ぶつかりながら駅の階段を今にも転びそうに降りていたら、何時の間にか義則との距離が、どんどん大きくなっていた。歩く距離だけでは無く心の距離も遠退い行くのも思考が止まりかけている頭で感じていた。
私の最後の任務は終わった。