「お前等最高!」
YU-Aが涙で、ぐしゃぐしゃになった顔を腕で拭きながら叫んで、メンバー5人手を繋いでステージを去った。ラストソングそしてラストシングルになってしまった最高のバラード"Song for you"をメンバーが去った後もファンが何時の間にか一体になって合唱している。皆泣いている。啜り泣く声が聞こえている。自然と会場がアカペラで響き渡って行く。会場が5万5千人が、ひとつになっている。この様な現象に出逢えるなんて、人生そうそう無いだろう。終幕だから何時か幕が上がる事を私は信じている。いつだってBLOODは私の心の支えだ。BLOODは私を裏切らない。バイトで目を付けられたり、馬鹿にされたり路頭に迷っていた時も私の傍にはいつでもBLOODの音楽が有ったから、此処まで来る事が出来た。終幕したからと言って私はファンを辞めるつもりなど毛頭無い。BLOODが作り上げた曲達は聴けば聴く程、深みを増して行く。
皆、会場を立ち去ろうとしない。BLOODがファンの為に書いたラストソングを何時までも合唱をしている。私は皆と違って泣く事が出来なかった。泣いてしまったらメンバーが見えなくなってしまうから。悲しいけれど耐えた。義則が居るから素直に泣けなかったと言うのも正直ある。永遠に、この時間が続けばいいのに。時間よ止まれ。現実になんか帰りたくない。