22ゲートの入り口が開くのを待つ為に、格好悪くて地肌が見えている男と体型を隠した服装のダサイ一応のカップルが列へと並ぶ。私達の後ろに並ぶ人達が気になって仕方がない。私達の事を笑っている人の声が聞こえては来ないか耳をそばだてる。大丈夫、大丈夫。皆これから始まるBLOODの最後のライブでテンションが上がっていて、他人の事など、どうでもいいと思っている。大丈夫、大丈夫。きっと大丈夫。そう願う。そうだ、逆に耳をそばだてるのを止めた方が良いのかもしれない。そうした方が私達を嘲笑う声が聞こえなくて済む。私は、もう少しで逢えるメンバーの事に意識を変換させる事にした。もうメンバーとの距離は、そんなに遠くはない。いつもは遠く離れた狭苦しい空間で仕事をしていて食べ物の事で頭がいっぱいだけれど今はメンバーが直ぐ傍に居てくれる。嬉しい気持ちの方が勝っているから食べ物の事は今日はどうでも良くなっている。メンバーは終幕を前にして今、どんな気持ちでいるのだろうか。3ヵ月前、ライブツアー中に突然発表された終幕。未だに信じられないけれど、泣かないで楽しみたい。そう意識を集中させて、ただ1人で行きたくなかった理由だけで連れて来た義則の存在を更に忘れて行った。気にしていた義則の髪型も、既に私の脳内ではBLOODの方が勝っている。