何時もと変わらない休憩時間だと思っていたが、出来れば聞きたく無かった言葉を聞いてしまった。「美夢ちゃん!見たよ見たよ~」舞はニヤニヤしている。「何を?」「美夢ちゃんが、かっこいー赤い車に乗ってるとこー。彼氏でしょ?」一瞬凍りついた。私が車に乗り込む所を見られるのは別に構わない。車は格好良いけれど、一緒に歩くのも恥ずかしい義則は見られなかっただろうか。それが1番気掛かりな事だ。「あー、うん。まぁね」照れた振りをして舞から目線を反らす。「車が速くて、彼氏見れなかったよぉ」がっかりした舞とは反対に私は安心した。それに見られる前の過程を見られなくて良かった。私は舞と見た星空が忘れられなくて街灯の無い海で見た方が綺麗かもと言う、それだけの理由で義則を呼び出した。私が働いている場所の土地勘が無い義則に迎えに来て貰った分際で指定した場所に中々辿り着けなくて携帯で、だから歩道橋の下のコンビニんとこだよ。コンビニ?見えないよ。だから歩道橋の下っつてんだろボケっ!さっさと来いバカ野郎! ブチっと携帯を一方的に切り、苛々しながら煙草を吸って、やっと義則が来て、私は煙草を投げ捨て、車に乗り込むなり、てめぇ坊主にして来い!などと言う、やり取りがあった事を舞に知られなくて本当に良かった。「見せるほどのもんじゃないよ」私は早くその場を、やり過ごしたかった。もう本当に別れたい。普通ならば、ど突かれる程の事をしたのに、義則は何も文句を言わない。やはり可笑しい。義則と私は愛では無い。依存しているだけ。堂々巡り。でも、あと1つだけ、やり遂げなければいけない事が私には有る。